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背徳のキス
第4章 3話目


「.......凄い量ですね。私一人じゃ食べきれそうにないです。」


「え、マジで?少食では?100個しかないのに。」


「100個!?10個でも充分ですよ」


「じゃあ残りは迷惑?ここって冷凍庫とか無いの?」


「.....そういった便利なものは無いですね。」


「OK。じゃあ責任持って残りは僕が食べるね。」


「90個も!?お腹壊しません?」


「壊さないよ(笑)大袈裟だな。」


レヴァイアタンは袋網の上部を少々破くと、隙間から手を突っ込み、殻付きのホタテ貝をそのまま口に放り込んだのだった。
ゴリっ、ゴリっというある種の爆発音のようにも聞こえる咀嚼音を立てて、ホタテ貝を噛み砕くとゴクっと飲み込む。


「うん、適度に噛みごたえがあっていいんじゃないかな。はい、どうぞ。」


そう言って網袋からホタテ貝を取り出し、シェリーに渡そうとしたレヴァイアタンだったが、口を開けて仰天した彼女の顔を見て、思わず横に首を傾ける。


「....僕の食べ方って...もしかして変?」


「.....えっと....そうですね.....ホタテ貝って、基本ナイフで殻を外して、エラと貝毒が集中する中腸腺のウロは取り除いて食べるんですけど....ご存知で?」


「....................あーそうなんだ。知らないね。」


“ヤッバ、食い物じゃない部分まで食ってた...
ヤバい奴じゃん...終わった....。”


「そ、そうなんですか。じゃあ普段は何を食べてるんです?」


「か、海藻...。」


まさか「主食はシロナガスクジラです⭐︎」と素直に言える筈も無く、今日訪れた市場の生鮮食品を思い出し、彼は当たり障りの無い返答をした。
そして辻褄合わせの為に、「貝類は日常的にはあんまり食べないかなぁ。」と言うしかなかったのだ。本当は海藻も貝類も殆ど食べた事が無いのだが。


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