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~疼き~
第2章 追憶
あれは、2年前の連休が明けた頃の出来事だった。
夏海40歳。蒼36歳の年だ。

二人が同棲を初めて5年程が経っていた。
子供は居なかったが、二人は籍は入れておらず事実婚のような関係になっていた。

二人の住まいは東急田園都市線沿線のあざみ野駅から直ぐのちょっと広めの3DKのアパートだ。

玄関を入ると直ぐに6畳のダイニングキッチンがあり、その奥には6畳の洋室に、その隣の部屋は和室の6畳で、玄関を入って直ぐ左手には8畳の洋室があった。

玄関を入って直ぐ左手にある8畳の洋室が二人の寝室になっていた。
そこには、セミダブルのベッドと夏海のドレッサーと洋服ダンスが置かれている。

奥の6畳の洋室はテレビと白いソファーが置かれていた。
和室の6畳は蒼がパソコンを置いて書斎兼ゲーム部屋にしていたのだ。

この日も、蒼はいつもの様に、朝仕事に出かけて行った。
蒼の勤め先は都営三田線の三田駅から歩いて数分の所にあるビルだった。

朝の通勤をする人に紛れて蒼は仕事先に向かっていた。
連休明けで皆、けだるそうにしながら道を歩いている。

蒼もそれに勝るとも劣らず、身体は重くだるさを感じていた。
大きな交差点に差し掛かる。

その交差点は二車線で車の交通量もとても多い場所だ。
朝の通勤時間帯の人や車はとても多い中何気に数人の人と信号待ちをしていた。

蒼はただ、信号待ちをしているだけだった。
歩行者側の信号は赤だ。
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