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~疼き~
第2章 追憶
夏海は信じられないでいた。
信じられないままこう話した。
「はい、分かりました。どこに行けばいいのでしょう?」
「三田総合病院まで来てください。駅から直ぐですからわかると思います」
そう警察官は言うと電話は切れた。
夏海は事の次第を会社の社長に話した。
夏海の職場はこぢんまりとしていて、社員も社長を入れても6人程だったのだ。
すると、社長は驚いている様だった。
「直ぐに行きなさい。仕事の事は気にしなくていい」
「ありがとうございます。直ぐに病院に行きます」
慌ててスプリングコートを羽織り、バッグを持って会社を後にした。
三田総合病院までの間の時間は物凄く長く感じていた。
都営三田線に乗り三田駅で降りる。
人混みの多さにちょっと驚いたがその人たちの間を縫って病院まで行った。
病院に着くと受付で自分の名前を言い、蒼の名前も言った。
病院側も分かっていたらしく、直ぐに医師に会うことが出来た。
医師の話だと蒼は自分でも分からない程一瞬にして亡くなったらしい。
それは、それで良かったのかも知れないと思っていた。
苦しんで、苦しんで死ぬよりはずっといい。
夏海はそう思っていた。
「では、霊安室に看護師が案内しますから、確認をお願いします」
立ち会っていた警察官がそう言ってくる。
病院の地下にある霊安室まで案内される。