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~疼き~
第2章 追憶
夏海の職場は福祉機器を扱う小さな会社だった。
そこで、事務の仕事をしていたのだ。
いつもの様に朝、パソコンに向かいながら伝票整理などをしていた。
そこでマナーモードにしていた携帯がブルブルと鳴ったのだ。
こんなに朝早くから何の電話だろうと思いながらも電話に出てみる。
「白石夏海さんの携帯ですか?」
「はい、そうですが…」
「岩崎蒼さんとお知り合いでしょうか?」
「はい、そうですが、どちら様でしょうか?」
「はい、すみません。警察のものです」
「警察ですか?」
「岩崎蒼さんが今朝、交差点で車に跳ねられて亡くなられました。それで遺体の確認に来て欲しいのですが…」
この話を聞くと夏海は声を失った。
夏海の頭の中は真っ白になってしまった。
「白石さん、聞いていますか?」
この警察官の話も耳には入ってこなかった。
夏海はスマホを耳に当てながら固まってしまったのだった。
「ほ、本当ですか…」
「はい、お気の毒ですがお亡くなりになりました」
夏海は放心状態のままスマホを握っていた。
尚も警察官は言ってくる。
「遺体の確認に来て頂きたいのですが、宜しいですか?」