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~疼き~
第4章 たまごサンド
蒼が亡くなってから2年後の現在。
夏海は42歳になっていた。

蒼が生きていれば38歳になる。
まさか、自分がある意味40歳で未亡人になるとは思ってもいなかった。

蒼は夏海にとって人生の風景の一部になっていた。
蒼が居ないこの世を考えることが夏海はできないでいた。

この2年間、夏海は自分を責めていた。
自分があの時、あんなに怒ったりしなければ蒼は死ななかったかも知れないと。

夏海は蒼を失った後、激やせしたのだった。
体重は8キロも落ちて、ちょっとだけふくよかだった身体はやせ細っていた。

そんな姿を友人の浜崎香織は見ていた。
香織が心配してアパートまで訪ねて来てくれる。

「ほら、夏海、元気出しなよ、ドーナツ買ってきたから。好きでしょ?」

そう笑いながら友人の香織はやって来たのだ。
香織は二人の共通の友達だった。

良く、夏海のアパートに彼氏と一緒に来ては蒼と4人で鍋などしていた。
香織の年齢は38歳だった。

結婚はしておらず、彼氏と隣街で一緒に暮らしている。
言わば事実婚状態だったのだ。

「夏海、もう蒼くんが亡くなって2年でしょう?早いわね…」

そう言うと、買ってきたドーナツを一口かじった。
夏海は余り食べる気はなかったがせっかく買ってきてくれたドーナツだと思い一口食べた。

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