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~疼き~
第7章 LINE

夏海は本当に分からないと思っていた。
自分でもどうしていいのか分からないでいたのだ。

寛貴は自分にはとても優しく接してくれる。
その想いも分かっていた。

それなのに、自分はいつまでも蒼の事を忘れられずに立ち止まっている。
今、こうして新しい恋が始まり、発展してゆくのにそれに抵抗している。

そんな自分に気が付いていたのだ。

「私たち、付き合えないよ…寛貴の気持ちは嬉しいけど…」
「そうやって、現実から逃げようとしてるんだ?」

「え?逃げてないんてないよ…」

「実際逃げてるじゃん?未だに死んだ彼氏の事想っててさ。新しく人を好きになれないでいるじゃん?それって逃げだと思うんだけど?違うか?」

夏海はそれに答えることが出来なかった。
確かに新たに人を好きになることができないでいる。

もう、人生を諦めていた。
蒼が居ないこの世など必要ないと思っていた。

「寛貴、本当にごめん…」

「別に謝らなくていいよ…俺、夏海を見てると辛くなるんだよ。そうやっていつまでも自分を責めててさ。もう解放されてもいんじゃないか?」

「そうだね…」

夏海はただ、うな垂れて答えるしかなかった。
こんな会話が続いてゆくうちに、寛貴から連絡は来なくなっていった。

夏海はたったひとりで誕生日を迎えることになった。
その誕生日も哀しい感じがする誕生日だった。

夏海は今年の夏も物凄く暑くなりそうな予感がしていた。

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