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~疼き~
第7章 LINE
未だに、蒼に対して自責の念があることを知っていたが、それをどうしたら良いのか分からないでいたのだ。
そう、もう蒼はこの世に居ない。
自分を残して先に逝ってしまった。
「俺さ、夏海の事、凄い好きなんだけど…」
「え?」
夏海は返事が出来ないでいた。
寛貴の気持ちは何となく分かっていたが、その決定的な言葉を聞きたくはなかったのだ。
蒼以外の男から「好きだ」と言われるとどうしても拒否反応が出てしまう。
心のどこかで、自分はもう、恋などしてはいけないのだと感じていた。
「好きだ」と言われる度に、自分自身に嫌悪感を抱いてしまう。
それに、自分はもう43にもなるのだ。
世間からしたらもういいおばさんになる。
そんなおばさんが、今更恋などしても良いのだろうか。
そんな、事を考えていた。
「寛貴の事は嫌いじゃないよ…」
「じゃ、俺の事はどう思ってる訳?」
夏海はまた、答えられずに黙ってしまった。
「ほら、そこで黙るんだな…」
「ご、ごめん…」
寛貴は電話口でため息をつく。
「俺たちこれからどうなっていくんだろう」
「わからない…」