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青い欲情~男と女の色模様~
第8章 親父と沙織の関係

「そこです、その角を曲がったところです」

東京の自宅に戻って来た頃には
かなり遅い時間になった。

最寄りの駅でいいと言ったが
「こんなに遅くさせたのだから送るわ」と
沙織は車で僕を自宅まで送り届けてくれた。

カーセックスで、
ちゃんとした逝かせてあげれなかった事から
沙織は帰りの車中でも、ずっと不機嫌だった。

僕は僕で、
沙織が何でそこまでへそを曲げているのか納得できずに、あえて何も会話もせず車の中ではお通夜帰りのように二人とも無言だった。

玄関先に車を停めてもらい
下車前に沙織にキスをしようとしたが
プイっと顔を逸らして僕のキスを拒んだ。

「また連絡するから…」

そのように沙織に伝えるのが精一杯だった。

コクンと小さく頷いてくれた気もしたが
彼女は「サヨナラ」も言わずに
無言で車を発進させた。

『僕が何かいけないことをしたって言うのかよ!』

不満たらたらで
僕は走り去ってゆく車のテールランプを
見えなくなるまで見送った。

「バカバカしい…
何で僕がこんなに気を使わないといけないんだよ」

未練がましく車が走り去った方を見ていると
スッと電柱の陰から男の人影が現れた。

街灯の明かりに浮かび上がったのは
父親の春彦だった。

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