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青い欲情~男と女の色模様~
第9章 図書室にて

昨日一日だけ休校だったのに
登校すると何だかとても新鮮な気持ちになる。

そっか…もう文化祭も終わって、役員から解放されたという気持ちが新たな一日という気分にさせるんだな。

上履きに履き替えて
クラスを目指して歩いていても
クラスメートから「よっ!おつかれさんでした~」と声を掛けてもらって
僕はちょいとした有名人になった気分だった。

皆が拍手喝采で僕を迎えてくれるのに
ただ一人、美波だけはブスッとした表情で僕を出迎えた。

「おはよ!」

誰もいなければ、抱きついてキスをしたいぐらいなのに、美波は挨拶をしてもプイッと顔を背けて自分の席に着席した。

「なんだよ、朝から不機嫌だな」

美波の机に尻を降ろして
不貞腐れている美波にちょっかいを出すと
「不機嫌にしたのは誰よ!」と
噛みつかんばかりの剣幕だ。

「なんだよ、僕のせいだとでも言うのかよ」

「そうよ!心当たりがあるでしょ?」

まさか、沙織とドライブデートしてるのを見られた?

「いっぱいLINEしてるのに
なんで既読スルーなのよ!」

ああ、そっちね…
僕はホッと胸を撫で下ろしながら
「悪い、わるい、朝からうちの両親が夫婦喧嘩の真っ最中でさ、仲を取り持つのに必死だったんだよ」
筆下ろしをして男になったせいか
そんな嘘を平気でペラペラと口からこぼれた。

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