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青い欲情~男と女の色模様~
第9章 図書室にて

「まあ!そうだったの?
ごめんなさいね、何も知らずに…
うちもたまに夫婦喧嘩するよ
あれって面倒よね」

さっきまでの不機嫌が嘘のように晴れやかな顔に戻った。
よかった…いつもの美波だ。

「私はさあ…てっきり弄ばれているのかと思ってちょっとショックだったのよ」

「弄ぶ?
そんなわけないだろ
美波は僕にとって大事な女なんだから」

「ば、バカ!誰かに聞かれたらどうすんのよ!」

女って単純だなあと思った。
ちょっと特別扱いしてやると顔を真っ赤にして喜んでいるよ。

そんな言葉遊びをしているうちに始業チャイムが鳴り、担任の磯田が、これまたどんよりと浮かない顔をして教室にやってきた。

「磯田ぁ~!飲み過ぎかい?」

そんなヤジが飛び交うほどに
憔悴という言葉がピッタリだった。

『コイツが俺の沙織を陵辱したんだ』

クラスメートが小バカにした視線を磯田に送るが
僕だけは怒りに満ちた瞳で担任を睨んでいた。

ホームルームが終わる間際に
そんな磯田と目が合ってしまった。

「明人、ちょっといいかな?」

磯田に促されて廊下に連れ出された。

「なあ、明人…お姉さんの沙織さんだけど…
俺の事を何か言ってなかったか?」

「さあ?同居していませんし…何も聞いていませんけど…」

「そうか…どうして嫌われたのかわからないんだけど、LINEの繋がりをブロックされちまったんだよ…
お前から機嫌を直してくれって言っておいてくれないか?」

ふん!自業自得ってやつだ!
お前なんかに沙織を渡してあげるもんか!

心では、そう思いながらも
「わかりました、伝えておきます」と
笑顔でそう言ってやった。

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