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青い欲情~男と女の色模様~
第15章 告発状

「明けましておめでとうございます」

元日の朝、僕はリビングに顔を出して
いつも通りに新聞に目を通して「への字口」の父に向かって深々と頭を下げた。

これが我が家の元日の朝の光景。

礼儀を大切にしろ
小さい頃から耳にタコが出きるぐらいに言い聞かされてきたので、父とは反りが合わないと思っていながらも、こうしてきちんと祝賀の挨拶だけは欠かさない。

「ほらほら、明人も早く着席しなさいな」

母はそう言ってテーブルに置かれたおせち料理の重箱の蓋をあける。

「年々、貧相になってるんじゃないか?」

数の子を取り皿に移しながら
父は正月ぐらいは豪勢にしろよと注文をつける。

「だってぇ…あなたも明人もあまりおせち料理を食べないじゃない
去年だって半分は食べずに捨てたわよ
そんなの勿体ないじゃない」

お雑煮をお椀に入れて
「文句言わないでさっさと食べちゃってよ」と
膨れっ面で着席した。

言われなくても、僕はさっさと食事を終わらせて美波と初詣に行かなきゃなんない。

父も部下を引き連れて会社の得意先の部長さんのところに年始の挨拶回りらしい。
たぶん、沙織も父に引き連れられて正月どころじゃないのと文句を言っていた

「元日に訪問したら相手さまにご迷惑でしょ」

母はそのようにたしなめても
「いや、元日に来てくれという人たちもいるんだよ」と、母に新調のスーツを出しておいてくれと命じた。

「そうそう、年賀状が届いているわよ
出していない人から年賀状をいただいているかもしれないし、ちゃんと自分の分を確認しておいてね」

そうは言っても、大半が父に届いた年賀状なので、母は「はい」と父に年賀状の束を差し出した。

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