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青い欲情~男と女の色模様~
第15章 告発状
一枚、二枚と、父は年賀状を確認してゆく。
どれもこれも会社関係ばかりのようで
ろくに文面を読もうともしない。
「なんだ、明人宛の年賀状がないぞ」
「今時、年賀状なんて出さないよ
新年の挨拶ならココに全部来るから」
僕はスマホを父にかざして自慢した。
「ふん!そんなの愛想がないじゃないか」
そう言いながら最後の一枚を手にして
「ん?なんだこれ?
宛名も描いていないじゃないか」と
怪訝そうな顔をした。
その一枚はどうやら直接我が家のポストに投函されたようだ。
それを裏返して「うわ!気持ち悪い!」と
父はそれをテーブルの上に投げ出した。
当然、僕たちの目にもそれが目に飛び込んでくる。
ドラマなどでよく見る新聞などの文字を切り抜いて貼り付けて文章を作ってある。
『あんたとこの奥さんは不倫しているぞ!』
それを読んだ母の顔色が一瞬で消えた。
「や、やだ!何よ!誰がこんなものを!」
困った悪戯ね…
母は僕たちに見られたくないとばかりに
それをくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げ捨てた。
僕も母の言うように単なる悪戯だと考えたが
父は疑心暗鬼で母の横顔を睨むように見詰めていた。
その視線に気づいた母が
「ほら、あなた、挨拶回りに遅れてしまうわよ」と、無理やり父を椅子から立ち上がらせた。