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青い欲情~男と女の色模様~
第15章 告発状
家族三人がそれぞれの元日を過ごし、
父も母もなんだか嬉しそうに夕食の食卓を囲んでいた。
ただ、明人一人が、美波が晴れ着を着ていたからセックスが出来ずに悶々としていた。
「あ~…カレーライスが食いてえ…」
テーブルには朝と同じおせち料理のお重が並べられている。
明日もまたおせちの残りを食べなきゃいけないのかと思うと箸が進まない。
「正月なんだから、おせちを食べた方がいいぞ」
数の子をポリポリと噛りながら
父は旨そうに酒を飲んでいる。
大人はいいよな…
おせち料理なんてお酒の肴みたいなもんだしな
そりゃあ、酒も進むだろう。
幼いときから明人はおせち料理が嫌いだった。
なんだか、どれもこれも生臭い気がして食が進まないのだ。
「せっかく作ったんだから、もっと食べてよ」
来客も来ないのに
三段重なんかにするからだと
明人はボヤいた。
「そんなことを言ったって…
ほら、お父さんは部長という役職だから
部下の人が挨拶に来るかと思っていたから
たくさん作ってしまったのよ」
「部下が上司の元に年始の挨拶に来るなんて昭和時代じゃあるまいし、今時そんな律儀な奴はいないさ」
上司と部下…
そのワードで明人は初詣で見た父と沙織の仲睦まじい姿を思い出してしまった。