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青い欲情~男と女の色模様~
第19章 学年末
久しぶりに登校したクラスはいつにもまして賑やかだった。
クラスのあちらこちらで新年の挨拶が飛び交い
たった二週間ほど顔を合わせなかっただけなのに
やけに大人びたクラスメートもいた。
「明人、おはよう」
美波は
いつもと変わらずに爽やかに挨拶をくれた。
「おはよう…」
「大丈夫?今にも死にそうな顔をしているわよ」
母親の存在というものが
こんなにもありがたい存在だったのかと
僕は身に染みて感じていた。
「お母さん…家を出たまま帰ってきていないって?」
LINEのやり取りで家庭事情を話してある美波が心配して親身になって僕を気づかってくれた。
「大丈夫…家の中の事は親父の会社の部下の女が来てくれて色々とやってくれてるからね」
そう、沙織が母の清美が居なくなったのを幸いに、まるで新妻のように我が家に入り浸って家事などをやってくれているのだが、どうにも釈然としない。
前夜の事だった。
僕が風呂から上がると
「明人、少し話をしないか」と
珍しく父から話しかけてきた。
「話って?
僕は明日からの学校の準備で忙しいんだけど」
「まあそう言うな、少しでいいから今後の事を話さないか」
「いいけどさ…」
僕がテーブルにつくと親父は一枚の紙切れを僕に見せた。
「父さんな…母さんと離婚しようと思うんだ」
その紙切れは生まれて初めて見る離婚届というものだった。