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青い欲情~男と女の色模様~
第19章 学年末
「離婚だって!」
まあ、こうなることは薄々感じていたけれど
でも、実際に離婚すると用紙を見せつけられてはたまったもんじゃない。
「母さんとは連絡がついたわけ?」
僕は離婚届を一瞥してみた。
父の署名捺印はあるものの
母さんの記入欄は空白のままだった。
「それなんだが…
お前、本当に清美の居場所を知らないか?」
「何で僕が知ってると思うんだよ」
どうやら母さんは家を飛び出してから
スマホを解約したようで連絡のしようがなかった。
「やっぱり妻の署名捺印がない離婚届って無効だよな…」
父が珍しくしょげかえっている。
「当たり前だろ!
夫婦の署名捺印がなけりゃ意味ないじゃん」
「離婚が成立しなきゃ沙織を迎え入れる事が出来ないんだよなあ…」
何?
要は沙織と入籍したいから離婚を焦っているわけ?
「心当たりには連絡してみたのかよ?」
「まあ、年賀状のやり取りをする相手ぐらいしかわからないしな…そのひとたちには訊ねてみたが誰一人として清美の居所を知らないというんだよ」
長年、夫婦をしてきたけど
実際はお互いの事を何一つわかっていなかったってことだな…
親父はそう言って憔悴しきった顔を手で撫で回した。