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ガトーフレーズ
第9章 gâteau pyrénées
初詣にいこうと誘われた日も、莉乃は断れなかった。
お焚き上げの匂い、お神酒の芳しい薫りと、甘酒の優しい香り。
破魔矢にだるま。
チョコバナナ、ベビーカステラ、りんご飴にワタガシ……
賑やかな参道を、当たり前のように手を繋いで歩く俊太を、斜め後ろから見つめる。
大好きな男の子。
お賽銭を投げ入れて、手を合わす。
ずっと一緒にいられますように。
そう言いたかったけど、違うことを祈った。
────俊太が自分の道をまっすぐに歩いていけますように────
息を吸い込むと、寒さで鼻がツンとした。
「…………ねぇ、俊太。公園にいかない?」
俊太は一瞬きょとんとして、すぐに笑顔で言った。
「莉乃さん、二人っきりになりたいからって……。きゃっエッチ♪」
「エッチだもーん」
じゃれあいながら歩く、幸せな一瞬一瞬を噛み締める。
お焚き上げの匂い、お神酒の芳しい薫りと、甘酒の優しい香り。
破魔矢にだるま。
チョコバナナ、ベビーカステラ、りんご飴にワタガシ……
賑やかな参道を、当たり前のように手を繋いで歩く俊太を、斜め後ろから見つめる。
大好きな男の子。
お賽銭を投げ入れて、手を合わす。
ずっと一緒にいられますように。
そう言いたかったけど、違うことを祈った。
────俊太が自分の道をまっすぐに歩いていけますように────
息を吸い込むと、寒さで鼻がツンとした。
「…………ねぇ、俊太。公園にいかない?」
俊太は一瞬きょとんとして、すぐに笑顔で言った。
「莉乃さん、二人っきりになりたいからって……。きゃっエッチ♪」
「エッチだもーん」
じゃれあいながら歩く、幸せな一瞬一瞬を噛み締める。