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ガトーフレーズ
第10章 soufflé
二月に入り、寒さも厳しくなった。
莉乃はケーキの歴史や種類を調べたり、バリスタの講習を受けたり、独学でラテアートを練習しながら過ごした。
そして、ラテアートの魅力にはまっている自分に気がついた。
世界一、柔らかいアート。
バレンタインデーは、義理チョコすら誰にもあげなかった。
俊太はきっと、抱えきれないくらいたくさんもらったんだろうな……。
俊太がパリへ行くことは、いまやwisteriaの常連客になっている母から聞いた。
あそこの息子さん、パリへ行くんだって。イケメンなのよねぇ、天は二物を与えるのねぇ……
興奮気味に話す母は、その息子さんが元カレだと知ったらびっくりするだろう。
紹介すればよかったかな……。
ううん、別れてしまったんだもん。これでよかったんだ……。
俊太、パリ行きを決めたんだ。
よかったという思いと、寂しさが同時に押し寄せる。
莉乃は、奮い立たせるようによしっと立ち上がると、コーヒーメーカーに向かった。
莉乃はケーキの歴史や種類を調べたり、バリスタの講習を受けたり、独学でラテアートを練習しながら過ごした。
そして、ラテアートの魅力にはまっている自分に気がついた。
世界一、柔らかいアート。
バレンタインデーは、義理チョコすら誰にもあげなかった。
俊太はきっと、抱えきれないくらいたくさんもらったんだろうな……。
俊太がパリへ行くことは、いまやwisteriaの常連客になっている母から聞いた。
あそこの息子さん、パリへ行くんだって。イケメンなのよねぇ、天は二物を与えるのねぇ……
興奮気味に話す母は、その息子さんが元カレだと知ったらびっくりするだろう。
紹介すればよかったかな……。
ううん、別れてしまったんだもん。これでよかったんだ……。
俊太、パリ行きを決めたんだ。
よかったという思いと、寂しさが同時に押し寄せる。
莉乃は、奮い立たせるようによしっと立ち上がると、コーヒーメーカーに向かった。