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ガトーフレーズ
第3章 mille-feuille
「すごい……莉乃さん……綺麗です」

そう言う俊太の、長い睫毛が頬に落とす影や、襟足だけくるんとした黒髪、形のいい唇に莉乃の方が見惚れていた。


キスを降らせると、黒目とぶつかってきゅんとする。
町と月と星の灯りが、俊太の目の中でキラキラと輝いていて、きっとこの瞬間を一生忘れないだろうと思った。

時おり眉間に生まれる皺が、苦しげな声が、
動くたびに離れそうになってまた塞がれる唇が、
莉乃をこれでもかと煽っていく。

「ずっと、キスしてて……」
 

……どっちのディープキスもやめちゃ嫌。

莉乃は、きゅうと力を込める。
びくびくと踊る奥深くの感覚が愛しくて、なぞるように腰を動かす。


はじける高揚感と、沈んでいく心地よい自由落下。 
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