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ガトーフレーズ
第8章 glace
トマトやバジルやきゅうりの香り。
ラピュタがいそうな入道雲。
雨上がりの土の匂い。

夏祭り、花火……。

つぎつぎとあがる尺玉で、色とりどりに照らし出された綺麗な横顔。
パッと咲いた花びらが、風に流され淡い煙になって消える残像。
浴衣と下駄。
途中で転びそうになって、「大丈夫? ほら」って、俊太が手を差し延べてくれたこと。

出会ってからの日々は、ロールケーキみたいに、どこを切り取ってもずっと幸せだった。
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