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もう奴隷のように犯されるのはイヤ…
第8章 【名医だと紹介された男に好き勝手されて…】
同じホステス仲間から丁寧に忠告されたりもした。
太客取られて躍起になってるだけだと思うけど、あまり波風立てたくないから反論はしなかったが。
私自身もいつかは飽きて捨てられる側なことには変わりないのだから。
若い子や新人が入ればそっちに行くだろうと思っていた。
そんな矢先、遠い田舎にある実家から連絡が入り、母が倒れて入院したと聞かされた。
いつかは来るであろうと思ってはいたが、まさかこのタイミングで。
実家に帰ったのなんていつぶりだろう。
覚えてないくらいかなり前だ。
別に喧嘩してるとかではないけど田舎過ぎて、帰るのも一苦労だし、こっちの生活が慣れてきてからは足も遠のいた。
元気だった母の姿しか思い出せない。
久しぶりに会った母はひどく痩せこけていた。
一瞬、本当に母なのか疑ったほど。
「ごめんね、帰らせちゃって…大した事ないのよ」
声も細くなってて辛そうに笑う。
主治医から話を聞いて、癌だと知った。
頭が真っ白になる。
一通り説明を聞いたが何も残らない。
手術も極めて難しい、と。
母自身が手術に耐えられるかどうかも仰っていた。
「陽子……悪いんだけど、お金ある?」
「うん、お金は何とかする」
「ごめんね、迷惑かけて」
「明日、明後日は来れないけどまた来るから、検査頑張って」
「うん、ありがとう」
顔のシワも白髪も増えていた。
申し訳なさそうに言う母の姿が胸を痛めた。
病院から出ると頭の中がようやく動き出す。
お金……何とかするってどうやって?
高額医療になるから……えっと、手続きは?
お母さん、保険入ってたから連絡しなきゃ。
一旦、立て替えたら良いだけかな。
それより、助かる?
難しい手術だって言ってたから、成功するとは限らない。
最悪、万が一のことを考えなくては。
母も離婚していて独り身だった。
倒れていたのも近所の人と話してる途中に突然…だったらしい。
もし家の中でなら……発見が遅れたのなら……
考えただけでゾッとする。
やっぱり高齢の母を1人にするのは……
でも今の生活を全部捨てれる?
田舎に帰れる?
「ミサトちゃん、どうしたの?浮かない顔して」
郷田にそう言われてハッとする。
接客中だ、何してるの、私。
新しいお酒を出してニッコリ笑う。