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A crescent moon
第8章 悲鳴
私はマンションを見上げた。
タクシーを捕まえてから、記憶がない。
それでもちゃんとマンションの前にたっていた。
ギュッと拳を握りしめ、エレベーターのボタンを押す。
(早く来て...来ないで...家にいないで...殴らないで。)
罪悪感と恐怖が押し寄せてくる。
すぐに階について、ゆっくり扉の前まで来た。
(開けないと...謝らないと...)
何度もドアノブに触れては、また手を下ろす。
その時後ろから人の気配がした。
「入らないの?」
「!?...あ...」
振り返ると、ビニール袋を持った正弘さんが立っていた。
足が震える。
目を逸らせない。