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A crescent moon
第9章 世界
包丁を手に取り、左手を流しのふちに置いた。
ジャラジャラとついた鎖に刃をかける。
でもツルツルして滑るから、なかなか刃がつなぎ目に引っかからない。
どうして。
どうして、どうしてどうしてどうして。
「拒否しないで…」
私を受け入れて。
一人はやだ。
寂しい。
寂しい辛い苦しい。
何度もこするように刃をつける。
そのとき、
ガチャー
「ただいま…美和、帰ったよ。」
私はふとリビングを見た。
その瞬間右手に力が入らなくなる。
ああ..この声....
帰ってきた。
正弘さんが帰ってきた。
いた。
ひとりじゃない。
私は一人じゃない。
ジャラジャラとついた鎖に刃をかける。
でもツルツルして滑るから、なかなか刃がつなぎ目に引っかからない。
どうして。
どうして、どうしてどうしてどうして。
「拒否しないで…」
私を受け入れて。
一人はやだ。
寂しい。
寂しい辛い苦しい。
何度もこするように刃をつける。
そのとき、
ガチャー
「ただいま…美和、帰ったよ。」
私はふとリビングを見た。
その瞬間右手に力が入らなくなる。
ああ..この声....
帰ってきた。
正弘さんが帰ってきた。
いた。
ひとりじゃない。
私は一人じゃない。