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A crescent moon
第9章 世界
「美和?何して…」

正弘さんがキッチンを覗いた瞬間、鎖がすべる。

力の入らない右手もすべる。

刃がすべる。

会えた。

会えた会えた会えた。

「うれしい…会いたかった…」

「美和!?」

手首に暖かいものが流れていく。

目を見開く彼に、ちょっと笑いそうになる。

どうして驚いてるの?

会えて嬉しいの?私は嬉しいよ。

目の前が歪む。

正弘さんが駈けてくる。

目の前が暗くなっていく。

遠くで声が聞こえる。

青い光がやってくる。

うれしい。

会えた。

会えた会えた。

彼に。

会えた。
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