この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
A crescent moon
第11章 愛愛
殴りたくない。
殴らない。
そう思っても、身体は反射的に動いた。
美和が吹っ飛び、意識がなくなったのかクタリと動かなくなってしまった。
それを見ながら、鎖を左手に巻き付け南京錠をかけた。
涙が流れてくる。
いつぶりだろうか。
だってね、美和....
もう愛してないってなに..?
俺たち家族になるんだよね..?
その指輪、二人で選んだよね..?
悲しかった。
だから鎖で繋いで、俺だけ見られるようにした。
帰ってきた時、また笑顔で「お帰りなさい!」って玄関に走ってきてほしいんだ。
「おいしい?」ってご飯の感想ねだって、わざと「普通」って言ったら膨れる美和の顔が見たいんだ。
あと少し。
あと少しで俺が欲しかったもの全部、現実になる。
本当の家族が、手に入る。