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A crescent moon
第11章 愛愛
美和の血に濡れた指輪を、はめ直そうとしてやめた。
ポケットにいれると、自分の指輪に当たってキーンと金属音が聞こえた。

眠る彼女の唇にそっとキスして、もう一度頭に焼き付けるように全てを見た。

「美和...ごめんな..ごめん....愛してる..」


きっと一生誰にもいうことのないだろう最後の言葉を口にして、病室をでようとした時、ちょうど看護士が入ってきて呼び止められた。

「あっ..佐々木さん、どちらへ..」

「..もうすぐ..彼女の両親が来ると思います。ですから一度、家に戻ります。」

「..は、はぁ..」

首を傾げる看護士を無視して、俺はさっさと病院を出た。

タクシーに乗りマンションに帰る。
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