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A crescent moon
第3章 悪夢
目をさますと、そこにはもう彼はいなかった。
見渡しても置き手紙すらない。
結局、連絡先すら教え合わずに彼とは終わったのだろうか。
私はベッドから降り、ふらつきながら散らかった服を拾い、着ていきながら彼を思い出していた。
(終わった..?)
いや..私には何となく終わったという気がしなかった。
彼に何度も貫かれた中に、まだ少し鈍い痛みが残る。
しかし、昨夜の情事を思い出すだけで私の身体は疼いた。
青い瞳。
通った鼻筋。
そして....あのぞっとするような表情....
私は今でも鮮明に思い出せた。
身体中が何故か、もう一度彼に会いたい、そして彼を自分のモノにしたいと震えていた。
時間は朝10時。
今から帰ってもアイツはいないはずだ。
ホテルを出て、私は考えた。
(実家に帰ろうか。今なら全てをやり直せる..アイツを忘れて全てやり直して....)
ふとヨシキを思い出した。
そしてバカな考えを振り払った。
(まぁそれが出来たら、とっくにあんな家出てたか....)