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A crescent moon
第12章 再起
「…やめとけ。」

「…」

私が黙っていると、哀れむような目を向けられた。

「あいつはあんたを愛してない。あんたが特別なわけじゃない。」

ふと出会った次の日を思い出した。
正弘さんと並んで歩いていた時に見た、喧嘩。
女の子はヨシキに鞄をぶつけて泣いていた。

「…私以外に…」

「そ。あんた以外にもいる。あいつはファンでも食うよ。」

わかっていた。
おそらくはそうだろうと。
でも、それでも私はヨシキと一緒にいたい。

「いいんです。」

「あ?バカか?」

「…いいの。ヨシキがいてくれる間は、私は安心して寝られるから。」

「…なら勝手にしろ。傷ついてもしらねぇからな。」

素っ気なくいう高坂さんに、それでも私は笑ってしまった。
優しいけれど口が悪くて不器用なだけなんだ。
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