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A crescent moon
第14章 進退

廊下に出ると、人の声が遠くに聞こえる。

遠くのワイワイとした雰囲気とは逆に、二人の間に重い空気が流れていた。

ようやく口を開いたのは悠斗さんだった。

「…君がヨシキくんと付き合っている子だね。」

「…」

探るようでいて確信を持っているようでもある言葉に私は黙っていた。

「すぐに分かった。そうか、彼の女好きは相当なものなようだ。」

「すみません、あなたは…」

私がたずねると、少し笑った。

「ああ、すまない。私は篠原悠斗。昔sound boxに出入りしていた者でね、繭ちゃんともホールにいる彼らとも知り合いなんだ。」

「そうなんですか。」

それで私に何の用があるのかわからないまま相槌を打つと、彼は笑みを消してまた険しい顔つきになった。

「ヨシキとも…ね。今日は結婚式でしか見ていないが、ここには来てないようだね。」
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