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A crescent moon
第14章 進退
私が言うと、少し戸惑ってから頭を下げた。
「いや本当にその通りだ。しかし知らない方が君のためなのかもしれない。」
「私のため…?」
一体どういうことなのか、聞こうとしたけれど彼はさっさと背を向けてしまった。
そのまま帰るつもりなのか、店から出ようとして扉の前で私を振り返った。
「…ヨシキはやめといたほうがいい。君は必ず傷つく。君はシ…」
「…?」
「…いや、なんでもない。気を悪くしたね、すまなかった。」
小さく頭を下げると、彼はさっさと店を出て行ってしまった。
「みーわー!ね、いま二次会の出席とってるんだけどどーするー?!」
ホールから繭が叫ぶ。
私は今行く、と言ってからその場でさっかこの発言を考えていた。
ヨシキといると私は傷つくと言った。
そして私が彼と付き合い始めたのがいつ頃かを知りたがっていた。
なによりも気になったのが…
『君はシ…』
あの後何を言おうとしたのか、考えても全然わからなかった。