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A crescent moon
第16章 遥走
「綺麗。ね、ヨシキ。」

「そうだね…まぁでも美和の方が綺麗だと思うけど。」

「…っ!ば、ばかねっ」

相変わらずキザなセリフを吐くヨシキに、それでも慣れずに私はそっぽを向いた。

視線を感じて隣を見上げると、ヨシキが微笑んでいる。

目深に被った帽子の下からは透き通った青い瞳が二つこちらを見つめていた。



私たちは紅葉を見にきていた。

気づけば秋。

ヨシキと再会してからもうだいぶ経つのだと実感する。

「こんなにゆっくりとした休日は久々だよ。」

「ヨシキ、忙しかったもんね。」
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