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A crescent moon
第16章 遥走

一体なんなんだろうか。

いつも冷静な高坂さんがこんなに慌てた様子なのは初めてだった。

「コーヒーでも…」

「いや、いい……なぁ、今日ヨシキのやつ携帯持って行ってたよな?」

「え?持って行ってたと思いますけど…」

私が答えると、高坂さんは舌打ちをする。

その時、ようやくヨシキが部屋に入ってきた。

「美和〜風呂入っ…あれ?高坂さん、どうしたんですか?」

ヨシキが帽子を取りながら高坂さんを見つけて言った。
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