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A crescent moon
第4章 嫉妬

マイクを持つ長い指先、しかめるように寄せた眉にあの夜を重ねた。
どうしてこんなに苦しそうに歌うのか..
あの日見せた冷たく無表情な彼の姿はない。
見入っていると、いきなり肩を掴まれた。
「おい。」
「えっ?あ、お帰りなさい。」
私は驚いて肩をつかむ正弘さんを振り返った。
(あ..怒ってる....)
「何回も呼んだんだけど。」
そういうとちょうど歌い終えたヨシキたちが、黄色い声援の中画面から消えた。
同時にブツッとテレビも消える。
正弘さんが消したのだ。

