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A crescent moon
第1章 prologue
「だからお嬢さんもそうかと思ったんだが..良かったよ。少なくとも俺のタクシーで自殺者は出したくねぇ。」
冗談混じりに言う運転手に、私は思わず笑った。
「ふふっ..私は死なないわよ。自殺なんて絶対ね。得るものなんてないもの。」
「そらそうだ。」
「でも....」
「?」
「..いいえ、何でもないわ。」
得るものなんて何もない。
死ぬつもりなんてない。
だって 私は一度死んでいるから。
あの日 あいつが消えた日に。
私は一度死んだから。
「...ンン~ンン..ンンーン..ンーンンン..」
「何だいソレ?さっきも歌ってたね。」
「..ふ..ばかな男の作った曲。歌詞もまるでバカだったわ。」
答えると、ふと運転手が優しくいった。
「....しかし好きなんだね。」
本当にバカな内容だった。
純粋で、真っ直ぐで....売れる訳がなかった曲。
じっと外を見たまま、窓に額をつけるとひんやりして気持ちがいい。
「......えぇ。とっても。」
頬を伝った涙を拭いもせず、私はラジオに耳を傾けるように目を閉じた。
冗談混じりに言う運転手に、私は思わず笑った。
「ふふっ..私は死なないわよ。自殺なんて絶対ね。得るものなんてないもの。」
「そらそうだ。」
「でも....」
「?」
「..いいえ、何でもないわ。」
得るものなんて何もない。
死ぬつもりなんてない。
だって 私は一度死んでいるから。
あの日 あいつが消えた日に。
私は一度死んだから。
「...ンン~ンン..ンンーン..ンーンンン..」
「何だいソレ?さっきも歌ってたね。」
「..ふ..ばかな男の作った曲。歌詞もまるでバカだったわ。」
答えると、ふと運転手が優しくいった。
「....しかし好きなんだね。」
本当にバカな内容だった。
純粋で、真っ直ぐで....売れる訳がなかった曲。
じっと外を見たまま、窓に額をつけるとひんやりして気持ちがいい。
「......えぇ。とっても。」
頬を伝った涙を拭いもせず、私はラジオに耳を傾けるように目を閉じた。