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A crescent moon
第5章 過去
私の実家は曾祖父から代々、建具屋をしている。

しかし一人っ子のお父さんには、娘の私しかできなくて、昔から働いてくれている仙道くんに譲ることを考えている。

真面目な人だし、技術もある頭も切れる人。

私たちはみんな絶大な信頼を寄せている。

けどこの時代、町の小さな建具屋は経営不振で少しずつ借金が増えた。
それを返すため、どんな仕事も引き受けて働いていた時、お父さんが倒れた。

過労だった。

会社は仙道くんだけでやりくりしていたけど、入院費や借金の返済が追いつかなかった。

その時、私と婚約したばかりの正弘さんが、入院費を出してくれた。

そして借金のためにもお金を出してくれた。

両親は初めから正弘さんを気にいっていたけど、もう命の恩人だとばかりに見ている。

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