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A crescent moon
第2章 出会
仕事から帰る人が溢れる街ー
私は行く当てもなくふらふらと街を歩いていた。
『お前が悪いんだよ!』
『別れられると思うなよ、クソ女が!』
飛び出してきたものの、財布には少ししかお金がない。
ホテル代なんて払えないし、結局またあの家に帰らなければならないのだろう。
私はドンっと後ろからぶつかられて、ふらついた。
腫れた頬が痛い。
切れた唇はもう瘡蓋ができている。
その時、ふと歌が聞こえてきた。
「..~~♪」
聞こえる方へ行くと、男が一人ギター片手に歌っていた。
客は誰もいない。
帽子を目深にかぶり、俯いたまま歌っていた。