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A crescent moon
第5章 過去
チュプッ..グチャッ..
『はぁっ..はぁっ..』
卑猥な音と二人の荒い息遣いが、静かな部屋にひびく。
どれくらいしただろうか。
正弘さんが呻いて中に放出した。
体に広がっていく生暖かさとは逆に、私の頭が次第に冷めていく。
私を抱きしめ、汗に濡れた髪をかきあげる正弘さんの後ろの天井を見たまま、私はじっとしていた。
『..美和..どうして泣くんだよ..』
『泣いてない...』
『..美和は、俺を愛してる?』
『....うん..愛してる。私は..あなただけ愛してる..』
決められたようなセリフを吐きだして、私は目を閉じた。
何回も囁いた愛してるって言葉が虚しく感じられる。
その夜は正弘さんに抱えられ部屋に戻り、また体を重ねた。
空っぽの頭の中、私はただすがるように快感を求めた。