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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第44章 明日晴れるかな
「ゆきの最初のダンナは、ヤクザがらみのトラブルを抱えていたのよ…うちらの猛反対を押し切ってカレと結婚したゆきは、戸畑にある小さなアパートに移り住んだのよ…ダイショーニブジョージョーの大企業に勤務していたのは大ウソ…ホンネは、自称プロ雀師だったわよ…ゆきが最初のダンナと結婚してから数年後だったわ…最初に生まれた娘(当時5つ)がヤクザの男たちに誘拐されたのよ…ゆきの最初のダンナが…旦過市場《いちば》でヤクザと乱闘事件を起こしたのよ…ゆきの最初のダンナが数人の男を殺して逃げたのよ…」
「その報復で…ゆきさんの最初の娘さんが誘拐された…」
「そうよ…ゆきとダンナは、助けを求める形で実家《うち》に来たのよ…『娘をダッカンしたい…犯人から5000万(の身代金)を要求された…』と言うた…せやけど、うちらはきっぱりと断った…うちらの猛反対を押し切ってかけおちしたゆきとダンナに支払うゼニを出すのがうざかったから断った…その結果…ゆきの最初の娘は、時限爆弾によって…命を落とした…それから数日後…ゆきの最初のダンナは、とんでもないボウキョに出た…ゆきの最初のダンナは、門司区にあった交番で警察官を刃物で斬《き》りつけて殺したあと拳銃を奪った…そして、娘を殺したヤクザの親分を拳銃で射殺したのよ!!…その結果、今度はゆきが誘拐されたのよ!!」
「ゆきさんが…仲間のヤクザたちに誘拐されたって…」
「せや。」

そこから先の話は、ゆりさんが説明した。

「ゆきはその時、コンクリ詰めに遭うところだったのよ!!」
「コンクリ詰め…」
「この時、ゆきのダンナがうちらに助けを求めに来たのよ!!…『心を入れ替えるからゆきを助けてくれ…』…うちらの前でビービービービービービービービービービービービービービー泣いていた…その時、おとーちゃんは大急ぎでセートーハの弁護士さんに頼んだ…『時間がない…あと1日しかない…』…おとーちゃんは必死になって弁護士さんに頼んだのよ!!…この時、弁護士さんは、住んでいた豪邸《いえ》を売って…5000万円を得た…そのお金で、うちらはゆきをダッカンしたのよ…その後、ゆきの最初のダンナは福岡県警《けんけい》に逮捕されたわよ…それから6ヶ月後に裁判で無期懲役を言い渡された…しかし…裁判所内に隠れていた暗殺者《ころしや》が持っていたトカレフで撃ち殺されたのよ。」
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