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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第50章 わかってない
「哲人《てつと》さん。」
「なんでしょうか?」
「哲人《てつと》さんは、大学の研究室の主任を務めているって、本当なの?」
「本当ですよ!!」
「大学で知り合った女性と挙式披露宴を挙げたのね。」
「挙げましたよ!!」
「婚姻届《しょめん》は?」
「出してません!!」
「出してないのね…だったら、ちょうどいい縁談《ハナシ》を持って来たわよ。」

いとは、ものすごくあつかましい声でまきに言うた。

「まき!!君波《うち》は哲人《てつと》が結婚することは大反対を唱えているのよ!!」

まきは、困った声でいとに言い返した。

「それじゃあ、いつになったら結婚を考えるのですか?」
「大反対と言うたら大反対よ!!」
「伯母様《おばさま》、うちらは主人の職場の人から頼まれたのよ!!」
「なんでそんなめんどい頼み事を引き受けたのよ!?」
「主人は同期の中で一番早く係長に昇進したのよ…今回の縁談《ハナシ》がまとまったら、一番乗りで課長に昇進できる上に、お給料が50パーセント上がるのよ!!」
「ますます困ったわね!!」
「主人が同期で一番早く昇進できたら暮らしがよくなるのよ!!…うちら夫婦は…ふうとうの中にあるお見合い写真に写っている女性《おあいて》さんの恋人さんの家に頼みに行ったのよ…」
「なにを頼みに行ったのよ!?」
「だから、哲人《てつと》さんに女性《おあいて》を譲ってくださいとお願いしたのよ!!」

それを聞いたいとがよりし烈な声で怒った。

「ドアホ!!あんたらはなにを考えているのよ!!」

思い切りブチ切れたいとは、まき・たくみ夫婦に対してガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミ…と怒りまくった。

端でいた哲人《てつと》は、気持ちがイシュクした。

(ゴーッ…)

さて、その頃であった。

A・Bの2班のメンバーたちは、ドバイ時間の夕方5時に1日の予定を終えたあと専用機に乗って再び旅に出た。

10月20日以降もお仕事の予定がたくさんあるので、休みは1日もない。

次回、来日する予定は風香《フー》ちゃんが漢検を受験する11月頃である。
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