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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第75章 悲しい色やね
「話かわるけど…先週の金曜日にゆらが起こしたドカバキの大ゲンカだけど…ゆかねーちゃんは今でも怒り狂っているわよ!!」
「なんでやねん…」
「あんたがゆかねーちゃんを怒らせた言葉を言うたからよ!!」
「うちおぼえてへん〜」
「せやけんうちはあんたがいらつくのよ!!」

(クイ…ゴク…)

ゆみさんは、生ビールを一気にのみほしたあと大ジョッキを頼んだ。

「ヘイ、生大一丁〜」
「おおきに〜」

ゆみさんは、ナンコツの串カツにオリバーソースをつけながらゆらさんに言うた。

「ゆら!!」
「なんやねん〜」
「それともうひとつ忘れていることがあるわよ!!」
「えっ?」
「あんた!!ポムじいさんに対してもケチよばわりしたよね!!」
「えっ?おぼえてへん〜」
「ドアホ!!せやけんあんたはアカンのよ!!」
「ゆみねーちゃん、そないに目くじらたてんでも…」
「ますますはぐいたらしいわね!!ゆりねーちゃんとゆかねーちゃんはアメリカ合衆国の医大をトップの成績で卒業したあとアメリカ合衆国の医師免許を取得した…ゆいねーちゃんもアメリカ合衆国の女子医大をトップの成績で卒業してアメリカ合衆国の医師免許を取得した…ゆなねーちゃんは、パリ〜ロンドン〜ローマ〜ニューヨークでファッションデザイナーの勉強をした…うちは、大手食品会社の商品開発のお仕事をしたのよ…ゆきは事情があるからなんも言わないけど…ゆらはなんやねん!!…専業主婦で蔵本の家の床の間にかざられた…ダンナが単身赴任中であることを利用して、グータラな暮らしを送っている…ゆらはなにを考えているのよ!!」
「ゆみねーちゃん…」
「あんたはなんで高校の家政科へ行ったのよ!?」
「行きたい大学がなかったからえらんだ…」
「せやけんあんたはアカンのよ!!もういいわよ!!」

思い切りブチ切れたゆみさんは、サイフの中から一万円札2枚を出したあと店から出ようとした。

「2万円置いといたから…うちの分もはろといてや…」

ゆみさんは、ゆらさんを怒鳴りつけたあと店から出ていった。

ゆらさんは、ものすごくつらそうな表情を浮かべながらゆみさんの背中を見つめた。
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