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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第6章 三ツで五百円
それからまた4ヶ月後であった。

私は、西日本の(テレビの)チャンネル数が4チャンネル(NHKと民放局2局を言う)のエリアをまわってカラオケ流しをしながら大番頭《おおばんと》はんたちを探し回った。

長崎・熊本・鹿児島・宮崎・大分・山口・高知の7県で開催されているカラオケイベントで飛び入り参加をしておひねりをかせいでいた。

ナイトクラブやスナックでしたいけど、他の流しのニイチャンたちがいるからできない…

そう言った場所は、ギター流しのニイチャンたちのお得意先が多い…

その上に、ヤクザのなわばりになっていたりヤクザのたまり場になっている場所がある…

そう言ったところで流しをしていたら、ヤクザの男から『オドレは誰に断ってここで商売《バイ》をしてるのだ!?』とか『オドレ商売代は払ったのか!?』…と凄まれるおそれがあるからできない。

なわばり荒らしをしていたことをチクられたら、命《タマ》取られることもありうる…

だから私は、細心の注意を払って行動した。

約4ヶ月に渡ってカラオケ流しでおひねりを稼ぎながら大番頭《おおばんと》はんたちを探したが、一向に見つからずにクリョした。

そして…

(ゴーン…)

時は流れて、1981年の大みそかの夜おそくであった。

除夜の鐘が漆黒の夜空に響いた。

ところ変わって、宮崎市橘通《みやざきたちばなどお》り西にあるスナックにて…

私は、何気なく店内に入った。

私は、ためしにここでカラオケ流しをしようと思った。

私は、お客さまのひとりに『一曲いかがですか?』と言うて声をかけた。

お客さまは、怒った声で『下手くその流しの歌なんか聴きたくねえよ!!』と私に言うた。

店のテレビの画面にNHK紅白歌合戦が映っていた。

お客さまたちは、紅白歌合戦に夢中になっていた。

だから、私は相手にされなかった。

店のママが私に怒った声で言うた。

「なにやってるのだよ!!用がないのだったら帰ってよ!!」

私は、なにも言わずにだまって店から出た。

その後、私は宮崎市内《しないちゅうしんぶ》をトボトボと歩き回った。

私は、ものすごくつかれた表情でつぶやいた。

もうダメだ…

これ以上、カラオケ流しをつづけて行くことは無理だ…

また学生に戻るしかないのか…

ゼツボーだ…

この先…

どうすればいいのだ…
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