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第97章 ダーリング

またところ変わって、湯ノ浦のホテルアジュールにて…

福也《さちや》がケータイを置き忘れてホテルから出た事件が発生したので、一行はひどく困っていた。

この時、晃代《てるよ》が一恵《かずえ》に対してものすごくなまけた声で言うた。

「ねえさん。」
「晃代《てるよ》〜」
「うちの都合が急に悪くなったから…とりやめにしよわい。」
「とりやめにするって…どうしてよ～」
「奈保子《なおこ》さんは…やっぱり…福也《さちや》さんと結婚した方がいいと思ったからよ。」
「それじゃあ、どうするのよ？」
「新《あらた》は男前だから、相手は自然に見つかるわよ～」
「だけどね～」
「ねえさん、新《あらた》はハンサムだから新《あらた》のことをほっとけないと言う女性《ひと》はたくさんいるわよ〜」
「晃代《てるよ》!!それじゃあどうするのよ!?」

一恵《かずえ》が言うた言葉に対して、晃代《てるよ》はものすごくなまけた声で答えた。

「だから、自然に任せるわよ…奈保子《なおこ》さんを福也《さちや》さんからゆずってもらうことについては、やめるから…」
「困ったわね!!」

そんな中で、日菜《ひな》はものすごく困った声で言うた。

「それよりも、福也《さちや》さんが忘れて行ったケータイはどうするのよ!?」

日菜《ひな》が言うた言葉に対して、和利《かずとし》はのんきな声で言うた。

「福也《さちや》は今ごろ、途中で引き返して湯ノ浦に向かっているのじゃないかな？」

日菜《ひな》は、にこやなか声で言うた。

「それだったら、奈保子《なおこ》さんに福也《さちや》さんのケータイを持って行かせましょうか。」
「えっ？奈保子《なおこ》さんに福也《さちや》が忘れたケータイを届けるって？」

この時、章弘《あきひろ》がポツリと言うた。

「そう言えば、入野《イリノ》さんのお母さまがケータイを忘れて困っていたのを菊本《キクモト》の長女《むすめ》さんが届けたことが縁で長女《むすめ》さんが入野《イリノ》の次男くんと結婚したと言う話を聞いたな〜」

一恵《かずえ》は『ああ、そうしましょうか…』と答えた。

日菜《ひな》は、福也《さちや》さんが忘れて行ったふたつおりを奈保子《なおこ》に渡しながら言うた。