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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第222章 恋唄綴り
「イヤ!!イヤと言うたらイヤ!!」
「なんだよぅ…オレはお前じゃないとだめなんだよ〜」
「なんでうちに求めて来るのよ!?」
「オレの周りの女は、冷たい女ばかりなんだよ〜」
「だったら奥さんのもとへ帰りなさいよ!!」

あのヤローにしつこく求められている女は、たしかテレクラかなんかで知り合ったアレの関係だけの女か?

あのヤローは、女になにを求めているのだ?

あのヤローは、お嫁さんのことがそんなにキライなのか?

…と考えた。

あのヤローは、なおも女に求めつづけた。

「たのむ…ダンナと別れてくれ…オレとサイコンしてくれ〜」
「イヤと言うたらイヤ!!」
「なんでイヤなんだよ〜」
「奥さんはどうするのよ!?」
「妻とフナカになったのだよ…妻がこの頃、暴力をふるうようになったのだよ〜」

それはオドレがお嫁さんをソマツにしたからだろ…

それにはやく気づけよこのボケ野郎!!

私は、全身をぶるぶると震わせながら怒り狂った。

あのヤローは、なおも女に求めつづけた。

「たのむ…オレのそばにいてくれ〜」
「イヤ!!イヤと言うたらイヤ!!」
「オレはお前じゃないとだめなんだよ〜」
「ふざけるな!!」

(パチーン!!)

思い切りブチ切れた女性従業員さんは、平手打ちであのヤローの顔を激しくたたいたあと中に逃げ込んだ。

ことの次第を聞いた私は、ゆっくりと現場から立ち去った。

この時、私はドナ姐《ねえ》はんの知人が経営している御茶屋《おちゃや》へ行こうと思ったが、行くことを断念した。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、午後4時頃だった。

私は、JR京都駅から播州赤穂行きの新快速電車に乗って大阪方面へ逃げた。

こわい…

おんまくこわい…

早く逃げなきゃ…
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