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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第233章 精霊流し
時は、2018年9月20日の昼過ぎであった。

ところ変わって、松山市食場町《じきばまち》にある斎場《やきば》にて…

ゆきさんが9月16日の明け方頃に入院先の(国立)がんセンターで亡くなった。

ゆきさんは、3日前にくも膜下出血を発症したあとICU(集中治療室)に隔離された。

しかし、治療のかいもなく9月16日の明け方にくも膜下出血による肺炎でゆきさんは亡くなった。

ゆきさんのお葬式は、A班のメンバーたちだけでとりおこなった。

哲人《てつと》は、9月6日に発生した北海道胆振東部地震《だいきぼじしん》で倒壊した建物の下敷きになって亡くなったのでここにはいなかった。

ゆきさんの遺骨は、お墓が見つかるまでの間は石手寺に預かりとなった。

ところ変わって、石手寺の境内にて…

A班のメンバーたちは、沈痛な表情で石畳を歩いていた。

この時、ゆかさんはつらそうな声で言うた。

「ゆきは、ホンマにかわいそうな子だった…」

ゆいさんは、つらそうな声で『そうね。』と答えた。

ゆりさんは、つらそうな声で言うた。

「あの子がチンピラたちに連れ去られたあとコンクリ詰めに遭いかけた時を思い出したわ…あの子…うちとゆかとゆいとおとーちゃんとおかーちゃんに助けを求めていたわ…だけど…うちらはあの子を助けてあげることができんかった…くすんくすんくすんくすんくすん…」

ゆりさんは、くすんくすんと泣きながら言うた。

「ゆき…かんにんしてや…こななおねーちゃんたちを…許して…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
「おねーちゃん…」

ゆかさんも、ゆりさんにつられて泣いた。

(ゴーッ…)

時は、夕方6時50分頃であった。

A班のメンバーたちが乗り込んだ専用機が松山空港から飛び立った。

このあと、12月20日頃までの間は1日も休まずに活動をつづけた。

イワマツグループの全メンバーたちは、スケジュール上の都合で本土に来る予定はない…

したがって、この日が最後の来日となった。

専用機が北太平洋の上空を通過していた時であった。

この時、空の下にものすごく大きな雲のカタマリが見えた。

大きな雲のカタマリは、9月末日に太平洋ベルト地帯をおそったあの台風24号だった。

私たちは、自然のモウイを肌でひしひしと感じとった。
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