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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第234章 挽歌
話は、【人形(おもちゃ)】からつづくハナシである。

時は、1994年10月18日頃であった。

私は、福岡市中心部のあちらこちらを回ってドナ姐《ねえ》はんを探した。

この7〜8日の間にドナ姐《ねえ》はんを探し回ったけれど、ドナ姐《ねえ》はんはどこにもいなかった。

私の気持ちのあせりが日増しに高まった。

私は10月20日まで福岡市内に滞在した、ドナ姐《ねえ》はんを見つけることができなかった。

もうだめだ…

私は、失意のどん底に突き落とされた。

時は、10月22日の午後2時過ぎであった。

失意の私は、水俣《みなまた》にやって来た。

場所は、水俣市丸島町《しないまるしまちょう》の水俣川《みなまたがわ》の河口付近にあるさら地にて…

失意の私は、ウォークマンで歌を聴きながら海を見つめていた。

イヤホンから村下孝蔵さんの全曲集に収録されている歌がたくさん流れていた。

『春雨』『歌人』『松山行きフェリー』『ゆうこ』『初恋』『踊り子』『少女』『アキナ』『ロマンスカー』『挽歌』『私一人』…

…おなじみの歌がたくさん流れていた。

その中で、私は『挽歌』を繰り返して聴いていた。

私は、つらそうな表情でつぶやいた。

この先…

私は、どうやって生きればいいのだよ…

ドナ姐《ねえ》はんは、どこに行ったのかな…

大番頭《おおばんと》はんたちは、どこにいるのだろうか…

このまま、大番頭《おおばんと》はんたちが見つからなかったら…

私は…

生きるすべを喪《うしな》うことになる…

それだけはなんとしても回避しなきゃ…

だけど…

どうやって、事態を打開すればいいのだ…

ああ…

困った…

助けてくれ〜…
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