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乳房星(たらちねぼし)−1・0
第23章 愚図(ぐず)
時は、10月10日の昼過ぎであった。

私が倉庫の中で二度切り全とばしをしていた時に、女主人がやって来た。

女主人は私に対して『カフェに行こや。』と言うたので、一休みすることにした。

またところ変わって、JR南岩国駅のすぐ近くにある純喫茶店にて…

女主人と私は、一杯400円のハウスブレンドコーヒーをのみながらお話をしていた。

店内にあるユーセンのスピーカーから1940年代のアメリカのジャズのナンバーが流れていた。

女主人は、私に対してこう言うた。

「イワマツさん!!」
「はい。」
「あんたは、なんで嫁はんがおらんけぇに!?」
「なんで嫁はんがおらんけぇにって?」
「なんでおらんのかと聞いてるけぇ!!」

なんで嫁はんがおらんのかと聞かれても分からない…

私は、ものすごく困った表情でつぶやいた。

女主人が言うたセリフは、陸上自衛隊少年工科学校《りくじのだんしこう》の元教官や壬生川のナイトショップの店の人も言うていた…

私は、好きでひとりモンを選んだわけではない…

なのにどうして、まわりは否定的な考えしかないのか…

私は、女主人にたいして陸上自衛隊少年工科学校《りくじのだんしこう》に在籍していた時の教官の家でトラブルになったことを話した。

私は『元教官が言うた言葉は、大きくズレているから理解できない…』と女主人に言うた。

女主人は、怒った声で私に言うた。

「あんたは何年生まれよ!?」
「何年って…1947年生まれですが…」
「あんたは戦後生まれだから、元教官の気持ちが全く分からないのよ!!」

それはどう言うことでしょうか?

私が第二次世界大戦後に生まれた世代だから全く分からないって…

私は、小首をかしげながらつぶやいた。

女主人は、私に怒った声で言うた。

「あんたが世話になった元教官さんは、ごきょうだいが正しい方向へ向かせるために必死になっていたのよ!!」

私は、コーヒーをひとくちのんでから女主人に言うた。

「それでもまだわかりません…自分が取り組んでいたケンキューが世に認められて表彰された…好きなカノジョにプロポーズして結婚を決めた…元教官が一方的に否定したからよけ悪くなった…大学でケンキューに取り組むことがいかんというのが理解できませんよ!!」

女主人は、怒った声で私に言うた。
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