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ビッケとビッチ
第2章 11月19日日曜日午後5時~
 6

 エレベーターに乗るなり、カラダを引き寄せられ、抱き締められ…
 和哉くんからの主導で、キスをされてしまったのだ。

「あん…」

「ゆ、悠里さん…」

 唇をこじ開けられ、舌先を絡められ…

 貪り合う様な、熱いキスをされてしまい…
 瞬く間に心が昂ぶってきてしまった。

 ああ、やられたわ…

 今夜も主導を握る為にも先手を打ちたかったのに…

 そして部屋に入るなり、きつく抱き締められてしまい…

 完全に和哉くん主導の流れになってしまっていたのである。

 あぁ、ヤバいわ…

 主導を逆転したいのだが彼による先手のキスに、すっかり心を揺らがらせられてしまったのだ。

 なぜなら、実はキスには弱かったから…

 そしてこの前は気付かなかったけど、和哉くんはキスが上手であった…
 すっかり心が震えてしまっていた。

 ああマズいわ…

 なんとかしなくちゃ…

 現実的には、本当に約一年振りのセックスであったから…

 だからこそ、舞い上がってしまう前に先手を打ち、主導権を握りたかったのだが…
 このままでは和哉くん主導の流れになってしまう。

 いや、本当はこのまま和哉くん主導で流されて、抱かれ、愛されたい衝動が秘かに心の奥深くにあるのは自覚しているのだが…

 流されてしまう訳にはいかないのだ…
 あくまでも、わたしが主人であり、和哉くんがペット的な位置、ポジションに置きたいのである。

 なぜならば…

 それが二人の関係を長持ちさせる筈であり…

 また、年齢差や、他の諸々なバランスを鑑みても…

 それが一番いいカタチになる筈だから…
 いや、そう思われるから。

 だからこそ先手を打ち、主導権を握りたかったのだ…

 そういう意味でも一昨夜の…

『三回できる?…』
 それが和哉くんに対しての先制パンチになったのだ。

 だが…

 今夜は、このままでは…

 ヤバかったのだ…

 なんとかしなくちゃ…





 
 
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