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僕の麗子さん
第7章 喜び
僕はその事を聞くと驚いてしまった。
夫の聡はふたりのベッドが乱れているのに気づいていた。
「ネズミでもいるのか?」
そう言ったのだ。
「今は誰もいないわ…」
麗子さんは慌ててそう言った。
だが、聡はそれを見て怪しいと感じていた。
「麗子、これから食事でも行かないか?」
「ええ、分かったわ。じゃ、ここで着替えるから下で待ってて」
「分かった…」
そう言うと寝室から出て行った。
麗子さんは、僕が隠れているクローゼットを開けた。
「領くん、こんなことしてごめんなさいね、でも、もうこんなことしてちゃ、ダメよね…」
「ダメって、どういうこと?」
「もう、領くんとこんな関係を続けていてはいけないと思うの…」
「なぜ?そんな事言うの?」
「ごめんなさい、お金を渡すから服を着て、タクシー呼んで帰ってくれる?」
僕は、納得いかなかったけれど、麗子さんの困っている様子を見ると可哀相になった。
「分かった、ちゃんと帰るから大丈夫だよ…」
「領くん、ごめんなさいね…」
そう言うと麗子さんは聡と食事に出かけて行った。
僕は、服を着替えると麗子さんの家を出てタクシーを呼んだ。
外に出ると暗闇が僕の身体を不気味に包んでいた。