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僕の麗子さん
第11章 エピローグ
4月の北海道はまだ冬に近い早春だ。
日中は10度近くまで気温が上がるところもあるが、夜になると5度以下に冷え込むところもある。

ほとんど雪が残っていない平地が見受けられる一方で、山間部ではなごり雪が降る日事も珍しくなく、まだ冬の寒さが残る微妙な季節といえる。

横浜ならば4月ともなれば桜のシーズンを迎え、毎日とても暖かくなるだろう。
でも、ここは北海道の富良野なのだ。

でも、春の足音は聞こえてくる。
僕は今日も麗子さんの絵を描いている。

そんな中、母の亜希子と麗子さんの夫の聡は横浜のバーでお酒を飲みながらこんな話しをしていた。

「麗子の決断には驚いたよ。本当に自分の店まで売り払うとは思わなかった」
「そうね、店を売り払ってまでしても、領と一緒に居たいのかしら?」

亜希子はそう言うとカクテルのマティーニを一口飲んでいた。

「離婚届を突き出された時は、本当に俺は驚いたんだ…それに、財産分与してくれたら、後は何もいらないから…って言うんだ」

「そうよね、麗子も大胆な事をすると思うわ…」

「今頃は北海道行きの飛行機の中だろう」
「領には無事に会えるのかしらね…」

そう言うとまた亜希子はマティーニを飲んだ。
亜希子は麗子さんが聡と別れることを決めた時こう言ったのだ。

「麗子が領を選んだのは構わないわ、でも、考えて欲しいの、領とは20も年が離れているのよ、麗子が50になった時、領はまだ30よ、他に若い女ができてもおかしくないわ。それでも、領のところに行くの?」
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