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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ
「二回生の学祭、明咲ちゃん、服飾部のファッションショーに出ていたでしょ」
「来てたんだ?」
「友達の作った衣装を観に行ったのに、明咲ちゃんに目が釘付けになってしまって……ひと目惚れ、みたいになっちゃった。ドレス姿は天使みたいに綺麗で、皇子の時は、フェミニンと格好良さの絶妙な感じがたまらなくて」
「それは、モデルとして致命的じゃないかな。私」
「はは、そうかも」
部屋に戻って、給仕の仲居と世間話しながら夕餉をとって、明咲は佳歩と庭園に出た。昼間とは表情を変えたそこは、まだ冷え込むのに、点灯が宿泊客らを寄せつけていた。
しめやかな賑わいを分けて散歩しながら、園芸やライトアップに月並みの感想を述べ合う。写真を撮って、とりとめない会話を交わして、明日の予定を思案する。ジャガードのワンピースに着替えた佳歩は、黒髪を二つに結っていて、LEDの光を弾いた肌が綿菓子のように白い色素を主張していた。
きっと誰もが、友人同士、たまに日常を離れた景色を共有したことがある。その、誰もが当たり前と呼ぶのだろうこうした時間が、明咲にはまだ特別すぎる。
「有り難う、明咲ちゃん」
佳歩が、植え込みの手前で足を止めた。