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ママ活
第4章 愛しのお姉様と姫とママ


「ゴールデンウィークを一緒に過ごせるなんて、妄想が現実になった。さっきの話、冗談じゃないよ。こんなこと言ったら重いかも知れないけど、休暇だって、こんな風に明咲ちゃんと過ごしたかったんだ。もし同じ職場になれたら夢じゃなくなるかもって、考えた途端、美容部員どころじゃなくなったよ」


 佳歩が今の会社に入ったのは、明咲を追ってきた結果だ。明咲の身辺から情報を集めて、時には教員達にも訊き回って、同じ就職先を選んだ。

 恋愛的に好きだった。

 そうもほのめかした佳歩を、明咲はかけがえなく思う。

 恋愛対象としてなら、亜純のような女を理想としていた。彼女と過ごしている時だけ、明咲はヒロインにでもなれた心地がする。

 だが、佳歩は愛おしい。身に覚えのないこの感情は、友情かも知れない。一方で、彼女との離別を想像しても、存外にショックを受ける気がしない。深い友人などいなかった、ゼロに戻るだけのことだ。


「私、セフレもいて、契約しているママもいるよ」

「それって、ママ活?」


 大学時分も、明咲は佐和子との過去を隠さなかった。その見た目なら納得だ、こそこそしていないということはただの噂だろう、と、学生らの間では、意見はざっと二分していた。

 化粧を落としていても作り物のように可憐な目が、いっそう大きく見開いた。それから彼女に、すぐまた柔和な微笑みが戻る。それでも好き、という呟きが聞こえた。
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